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琥珀王子と瑠璃色灰かぶり姫

第9章 讃えられる寂しさ



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翌日になり。

いつになくグッスリ睡眠を取った透子は、午前の遅い時間に目黒邸の静の部屋で目覚めた。

良い香りのするアロマオイルが室内に漂っている。
隣にはすでに静の姿はない。
それに気付いた時の自分の感情に、説明がつかなかった。

『キミは美和の言うことを聞いて大人しく良い子にしていなさい』

眠り際にそう言って微笑いかけてくれた彼や、
その前に静に頭をすりつけて謝罪を乞うた叔父の姿、
それから義母や咲希の面々。

………まだ残る眠気を覚まそうと、昨晩の事を少しだけ頭に思い浮かべた。


昨晩あれから、ヘリは国立のヘリポートへと一旦到着し、車でまた目黒へと向かった。

複数の企業の御曹司といわれるも、そんな静が普段なにをしているのか。
今までいまいちよく分からなかったのが透子の正直なところである。

『俺は数時間ほど仮眠を取ってから会議に出て、そのまま社へ向かう。 明日昼過ぎに目黒に来客があるから────一旦戻るが透子、その時にはキミも一緒に。 キミの持ち物が戻るよう手配をしておいた。 後のことは青木に聞きなさい』

日付が変わるまでには仕事を終えて帰宅すると言う。
『いつもそんな感じなんですか? 忙し過ぎやしませんか』そう車の中で話していたが、『海外などは時差があるから、こればかりはな』と、至極当たり前のように言った。

『普段は何をされているんですか』

『予算や企画立案の承認や、現場の視察が主かな。 これは俺が出る事は滅多にないが、各社業績の把握などは常に頭に入れておく必要もあるし』



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