第5章 恋人 - 定義と認識 2*
目を白黒させている透子に、その女性が素早く浴室を抜け階段をかけ上がる。
しかしこの安定感。
その力強さは、おそらく静以上だ。 などと、混乱し過ぎてどうでもいいことが頭を掠めた。
「私は三田村と申しまして、こちらのSPも兼ねることになります………昼間も思いましたが、透子様はやはり柔軟な良い筋肉をしていらっしゃる」
静の部屋にたどり着いた所でストンと降ろされ、やっと胸を撫で下ろす。
その前で三田村が深く腰を曲げ、顔をあげて女性らしく爽やかな笑顔を見せて口を開いた。
長身、そしていわゆるクールビューティ。
ドキッと、胸が高鳴った。
「来週よりこちらに住まわれると伺っております。 いかがですか、今度ご一緒にトレーニングでも?」
「は………はいっ!!」
透子にゴリラ仲間が増えた。