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ナターシャ

第2章 取り引き


手続きは着々と進み、ナターシャは明日の朝食を食べ終えたら夫妻に引き取られることになった。
「それではよろしくお願いしますね。」
シスターと夫妻がお互いに握手を交わして去って行った後、ナターシャは2階に一目散に駆け上がり、荷物を鞄に詰め込んだ。
「やってやろうじゃないの!」
歯を食い縛り、荷物を詰め終わると何事もなかったかのように食堂で本を開いて読み始めた。
そして夕食の時間になると子供達がぞろぞろと食堂にやってきてお祈りを済ませてそれぞれが食べ始めた。
黙々と食べる音と食器の音だけが食堂に響いている中、誰かがヒソヒソと話し始めた。
「ほら、あの子!明日この孤児院を去るんだってさ。」
「いなくて済々するよ。」
「ナターシャって子よ。ほら見てみなさいよ。」
皆んなが話している中、ナターシャは目を背けて食事と向き合った。
食事を終えて食器を片付けると歯を磨きに洗面台に向かった。
「私ならやれるわ!今に見てなさいよ。」
そう呟いてコップに水を注ぎ、歯ブラシに歯磨き粉をつけて歯を磨く。
「明日が楽しみだわ。」
とナターシャは笑みを浮かべていた。

歪んだ笑みを・・・・
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