第2章 取り引き
翌日も昨日のご夫婦が孤児院を見学に来ていた。やはりナターシャを引き取りたいと話しているらしい。
「私はここから出ないんだから!」
と決め込んでいたナターシャはふとあることを思いついた。このご夫婦の前では気に入ってもらいましょう。そうすれば昨日の騒ぎも少しは治るだろうと考えて階段をかけて下に降りて行った。
下に降りるとシスターとご夫婦が話し込んでいるのが見えた。
「こんにちは!」
ナターシャは元気よく話しかけた。
「あら、ナターシャ。ちょうどよかったのよ。昨日、いらしていた方なんだけど貴方を引き取りたいって言ってるのだけどどうかしら?」
シスターが笑顔で言った。
きっと昨日の件もあって私に早くここを出て欲しいんだわとナターシャは自分なりに解釈した。どうして私ばっかり邪魔者扱いされなきゃいけないのかしら?でもいいわ。今にみてなさいよ。
「いいわよ。」
ナターシャはあっさりとそう答えるとご夫婦を間近で見た。
ふうん。年入ってるみたいね。金髪をきっちり揃えてボブヘアーの女の人と顎髭のある茶髪の男性。
この人達なら、、、、。
「じゃあ、早速手続きしましょう。ナターシャもついてきてね。」
「はい、わかりました。」
シスターに促されてナターシャはご夫婦と談話室に向かった。