強くて、脆くて、可愛くて【東リべ夢】〘佐野万次郎夢〙
第4章 守りたいモノは
正々堂々とも出来ないのに、そんな人のせいで大切な人が傷つくなんて許せない。
両手を頭上に上げられたまま、男の手で固定される。
「生意気な女には……ちょーっと痛い目見てもらうしかねぇよなぁ?」
「やだっ……触らないでっ!」
「ほらほら、もっとしっかり力入れて抵抗しねぇと、そんなんじゃ、あっという間に剥かれちゃうよぉー? お前等、こいつ押さえてろ」
言われた仲間が、私の手と脚の自由を奪う。
血の気が引いて、体がガタガタと震え出す。
「へっ、震えてんじゃねぇかよ……。大人しくしてりゃ、こんな事にはなんねぇのによぉ……バカな女だよなぁ」
「……こんな卑怯な事しか出来ない人の言いなりになるくらいならっ……私の体で大切なモノ守れるんなら、体の一つや二つ、いくらでも差し出すわよっ!」
怒りに任せて、なりふり構わず言葉を投げるなんて、ほとんどした事がないけど、言わずにはいられなくて。
それが自分を危険に晒すとしても。
男が舌打ちをして、引き裂いた服の中に手を入れた。
「そんだけ覚悟があるんなら、お手並み拝見しよーじゃねぇの」
片方の胸が鷲掴みにされ、背けた顔を痛みに歪める。
「こんなエロい体抱いてんのかよ……さすが無敵のマイキーだなぁ、おい」
下品な笑い方でニヤついた男に、怒りと恐怖を感じながらも、好き勝手にされるしか出来ない無力な自分に、悔しさで唇を噛む。
胸を揉まれながら、もう片方の手がスカートに侵入して、下着を下ろす。
嫌悪と何とも言えない気持ち悪さに、覚悟をしたはずなのに、自然と声が出る。
「やっ……やだっ……」
口を仲間の男に塞がれ、呻くしか出来なくなる。
万次郎の顔が頭に浮かび、涙が滲んだ。
〔ごめんね、万次郎……。私、汚されちゃうや……〕
心の中で謝り続け、私は目を閉じて体から力を抜いた。
「もう抵抗しねぇのか? つまんねぇなぁ……」
そう、私は諦めを選んだ。
そんな私の耳に、聞きたかったような聞きたくなかったような、聞き慣れた音が届いた。
不思議な事に、嫌な気分がそれだけでスーッと消えていく。
「ちっ……来たか。思ったより早ぇな……」
何人かの足音が聞こえ、扉が乱暴に開かれた。
晒された肌を隠すように体を横に向ける。