強くて、脆くて、可愛くて【東リべ夢】〘佐野万次郎夢〙
第4章 守りたいモノは
工事が途中で終わって放置されたのか、事務机やパイプ椅子にソファーにロッカー、ドラム缶や三角コーンやマットなどが置かれ、すっかり溜まり場のようになっていた。
私は両手を縄みたいなもので縛られ、ソファーに座らされる。
特に何が酷い事をされるわけじゃなくて、スマホを取られただけだった。
万次郎を呼び出す為か、リーダーらしき男が私のスマホを操作し、耳に当てる。
通じたのか、ニヤリと笑ってこちらを見た。
「よぉ……愛おしい彼女じゃなくて悪いな。そんな怖い声出すなよ」
楽しそうに話す男が、私に近づいて来る。
「お前の可愛い彼女は、今俺等と楽しく遊んでっからさぁ、お前も来いよぉー。一緒に遊ぼうぜ?」
そう言って、私の耳にスマホが当てられた。
「ほら、彼女も彼氏呼んでやんなよ。ダーリン助けてぇーってさ」
ふざけるように言う男を睨むと、何が楽しいのかまた笑う。
「お前と一緒で、女も生意気だなぁっ!」
頬が痺れる。何が起こったのか一瞬分からなかったけど、痛みで熱くなった頬の感覚で、殴られたのだと知る。
「おら、さっさと呼べや」
『、大丈夫か?』
耳に愛しい声が届き、泣きそうになるのを堪える。
こんなに安心出来る声が、この世にあるんだろうか。
「万次郎、私は大丈夫だから、来ちゃ駄目っ……」
耐えられず、涙声になる。けど、私が泣いちゃ駄目なんだ。こんな人達の前で、泣いてたまるか。
「この女ぁっ!」
また殴られ、次は埃っぽいマットの上に身が投げられた。
倒れた私の上に、その男が跨る。
「ほら、早く来ねぇと、彼女が傷モンになっちまうぞ? 怯えちゃって……可愛いねぇ……」
投げ出された脚がゆっくり撫でられ、気持ち悪さで無意識に身を引いて声が出る。
仰向けに寝かされ、男が服のボタンに手を掛けて思い切り引き裂いた。
「さっさとしろ。女ヤられたくなきゃなぁっ!」
「ぃ、いやぁっ!」
スマホを切ったのか、マットの上に投げられた。
自由に出来ない両手を胸の前にして、体を捩る。
「あんま生意気な態度取ってっと、ヤっちまうぞ、あぁ?」
「ぃっ……」
髪を掴まれ、顔が近づいて痛みに顔が歪む。
「まだそんな目が出来んだなぁ。どいつもこいつもナメやがって……」