強くて、脆くて、可愛くて【東リべ夢】〘佐野万次郎夢〙
第3章 もっと近くで
万次郎を気にする事なく、女子同士の話は続く。
女子が二人いると、自然と恋バナになるわけで。
「そうだ、今度ヒナも呼んで、女子だけで遊ばない?」
「駄目。は俺の」
「マイキー、あんまり彼女の自由奪ったら、嫌われちゃうんだから」
「それは……困る。嫌いになんないで」
胸辺りにあった万次郎の顔が少し上を向き、上目遣いで寂しそうに言われる。
万次郎の頭を撫でると、ふわりと笑って再び胸元に顔を戻した。
ヒナちゃんとは、一つ後輩の花垣武道君という男の子の彼女で、万次郎も知っているらしい。
あまり同性の女の子達とゆっくり話をする機会がなくて、こんな形で仲間に入れてもらえる事が嬉しくて。
「、嬉しい?」
「え……うん。女の子とこうして話す事もなかったし、ましてや遊ぶなんて初めてだから」
「そっかぁー。お姉さんは、大変なんだ」
「でも、弟達はいい子だし、癒しでもあるから辛さとかはないんだ」
親を恨んだ事もないし、私はお父さんの子供でよかったと思ってるし、弟達がいる事にも感謝している。
もちろん、万次郎が傍にいてくれる事にも。
そういう感情も込めて、万次郎の頭を撫でた。
言うが早いか、次の休みに早速エマちゃんとヒナちゃんと遊ぶ事になった。
二人が自然だからか、初対面とは思えないくらい、仲良くなるのは早くて。
普段はゆっくり見れない可愛い物を、共有しながらショッピングして、お茶をしながら話をする。
「ヒナはタケミっちの事大好きだもんねー」
「うんっ! でも、エマちゃんだってドラケン君大好きでしょ」
「だって、すっごい格好いいんだもんっ!」
二人の話に耳を傾けながら、微笑ましくなって笑う。こうやって、堂々と好きな人を好きだと言える事は凄いと思う。
「でも、まさかマイキーに女の子を好きになる感情があったなんて、びっくりなんだけど」
「確かにそれ分かるなぁ」
そんなに不思議な事なんだろうか。
「喧嘩バカで、自分勝手でワガママで、女の気持ちなんて絶対分からないだろうし。ちゃんはマイキーの何がよかったの?」
全部といえば簡単に聞こえてしまうけど、理屈じゃなくて。
「難しいね。何て言えば正解か分からないけど」
万次郎を思い浮かべる。