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依々恋々-イイレンレン-@Shanks in 現代社長

第56章 Hope



 ✜

いつもより柔らかい枕の感触に、顔を埋める。

さらり、と髪を耳にかける手の感触に顔を動かして目を開けると、おはよう、と笑うブルーグレイ。
枕に肘をつき、覗き込むように笑う顔を、寝ぼけ眼でうっとりと見上げる。
まだ覚醒しきっていない意識。
彼の首元に手を差し込むと、姿勢を変えて抱き寄せてくれる。

「ずいぶん甘えたな婚約者だなぁ」
幾度か頭頂部にキスを落とす唇が微笑んでいる。
少し首を反らして、筋が立つ首筋の温度を唇で確かめる。
「っふ、くすぐってぇ」
嬉しそうに笑う声に、すり、と絡む脚を爪先で擽る。
ゆっくりと彼が覆いかぶさるように姿勢を変える。

片腕の肘をつく首に抱きつくと、少し浮く背中を大きな手で撫でられ、キスが降ってくる。

「シャンクス、」「🌸」

ス、と互いの唇が触れた時、窓際の備え付けの電話が鳴り出して、互いにぱちくりと至近距離で見つめあった。
じわ、と不機嫌が滲み出るシャンクスの表情。
「出ないの?」
問いかける唇が彼の唇を掠める。
素肌の肩から二の腕をそっと撫でると、クソっと悪態づいて勢いよく跳ね起きる。
素足のまま、鳴り続ける受話器を掴み上げた。

広いベッドの上でぐっと体を伸ばし、ふぁ、とひとつ、欠伸をこぼす。
感じる目線に顔を向けると、受話器を肩口に当ててこちらを向くブルー・グレイ。
捲れたナイトガウンの裾を整えて彼の傍らに立つ。

「朝、どうする?上の展望レストランかルームサービスか」
「いつもどうしてるの?」
「🌸の好きにしていい」
少し考えて、ふむ、と頷く。
「お部屋がいいかな」
わかった、とサラリ、耳の後ろあたりの髪を撫でる右手。


フロントに何かお願いをしている彼から離れ、広い窓にかけられたカーテンを捲る。
「う、わぁ!」
昨夜、光を回していた灯台が佇む天色の空と紺碧の海。
窓ガラスに額を当てて覗き込むと、砂浜が見下ろせる。

す、と隣に並ぶ愛おしい体温。

「先にシャワー、済ませとくか?」
「そうしようかな。あ、ウタちゃんたち起きてるかな?」
「ああ、連絡しねぇと」
遅いと怒られる前に、と苦笑いのシャンクスにそちらを任せ、たっぷりと余裕のある浴室のバスタブにお湯を溜めた。
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