第1章 始まり
杏「……………………。」
杏寿郎は急に上の空になってしまったつむぎを見て口をきゅっと結んだ。
何を考えているのか分かったからだ。
杏(彼らの情報が無ければ俺も身動きが取れなくなっていただろう。)
杏寿郎もそう今は亡き仲間に想いを馳せたが、すぐにパッと切り替えた。
杏「五十嵐!先に言っておく事がある!父上についてだ!」
「あ、うん!」
我に返ったつむぎは杏寿郎に視線を戻してしっかり頷いた。
その表情は明るい。
(お父様は私が産まれた年に柱に就任したって言ってた。それから、子供の話で炎柱様と話が盛り上がったとも…。)
その子供とは、もちろんつむぎと歳が近い杏寿郎のことだ。
つむぎは父親と良い関係を築いた事のある炎柱、煉獄槇寿郎に好意を抱いていた。