第5章 憔悴
眠りに着くと襲われる記憶……目が覚めると優しい笑みを浮かべる傑……身体が動かない私……“殺せ”と意気込んでも困った様な笑顔のままの傑……そのまま組み敷かれ……怖い……時折疾る肌を刺すような痛みも恐怖でしかない……。
必死で動かない身体を動かしながら、逃げる……その時、逃げ惑う私に痺れを切らしたかのように、押し倒され………強く頭を打って………朦朧とする意識の中で、私は傑と……。
「………ッ……」
私は不本意でも、傑と……悟を裏切ってしまったことは分かってる……でも、そんな事、私にはどうでも良い事で……泣かない……泣いちゃダメ……誰かの優しさに触れたくなるから……そうしたらダメだって分かってるから……。
「………”帰ろう”……」
「……それは“僕の所”であってる?」
「……ッ……サ……悟………ごめん、寝ちゃってた……」
「そんなに寝てないよ?僕、硝子に連絡もらって直ぐに来たから……」
「ヤッ!!?」
「……ごめん……」
「ッ!!?…さ、悟……違………違うの…ごめんなさい……ごめんなさい………」
を抱き締めたくて、手を伸ばすと驚かれて完全に拒絶の表情……あんな事があったんだ……怖くて仕方ないよね……あー、俺ってホント、デリカシー無いな……でも、好きな子が辛い目にあって、無事で居たら抱き締めたくなるでしょ……ま、こんな気持ち、俺も初めてだけど……それなのに僕を傷付けたと思って謝ってるの?泣き虫なのに涙を堪えて……。
「大丈夫……は悪くないよ!僕がデリカシーが無かっただーけ!……ごめん、……護れなかった……僕が護るって言ったのに……」
「ちがっ!!」
「だから、が怖がる事は何もしない……だから、が大丈夫って思ったら僕に教えて?その時はいーっぱい抱きしめて、キスして、もう離してあげないから!!好きだよ、……この気持ちは変わらないから信じて……」
悟は悪くない……ごめんなさい……優しい笑顔で私の頭を撫でてくれて……ごめんなさい……私のせいで……ごめん……悟……悟……私も好きよ……でも、私じゃ貴方を幸せに出来ない……。