第11章 愛してるのは君だけ
「何であんな平凡な女が良いのよ。意味分からない」
春香さんは声を張り上げてそう叫んだ。
「春香には一生分からないよ。美智留の良さは。じゃあな」
そう言って雄也さんは、こっちに向かって歩いて来る。
えっ?どうしよ。このままだと見付かる。
どうしよ、どうしよって焦って居たら目の前に雄也さんが来た。
「えっ?。。。美智留?」
ビックリした様子の雄也さん。
「はい。。。歌番組を。。見て。。雄也さんの様子が。。。可笑しくて。。心配になって。。会いたくて。。来てしまいました。。。ごめんなさい」
とりあえず、しどろもどろで状況を説明した。
「えっ?」
気付いたら雄也さんの腕の中に居た。
「雄也。。。さん?」
ゆっくり名前を呼んだ。
「会いたかった。声を聞きたかった。抱き締めたかった」
雄也さん。
そぉっと手を雄也さんの背中に回した。
「僕が愛してるのは君だけなんだ。美智留が居ないと僕はダメになる。ずっとソバに居て欲しいのは美智留だけだ。春香の話は全部嘘だ」
雄也さんの気持ちは痛い位、伝わって来る。