第10章 大切な人
証拠なんて。。。ない。
春香に嘘だと言ってもらうしかない。
でも、そんな事、絶対、言わないだろうし。
関係を持ってない証拠なんてない。
信じてもらうのは難しいのか?
確かにそうだよな?
「証拠なんてないけど、美智留に誠心誠意、信じてもらえるまで話をするしかないと思ってる。今日、仕事が終わったら、美智留の家まで行く」
僕が真剣な顔で、そこまで言うと新津は、またギターを弾き出した。
新津は僕達が別れる事を望んでる。
新津が美智留の事を好きな気持ちは充分、分かってる。
でも、ごめん、美智留だけは絶対、手放せない。
僕も愛してるんだ。
心の底から。
だから美智留の気持ちを取り戻してみせる。
誰にも渡す気はない。
覚悟を決めて本番に望んだ。
美智留が、見てくれてる事を祈って。