第10章 大切な人
それから小橋と一緒に楽屋に戻ると新津が来ていた。
「新津。。。来てたのか?」
新津はギターを弾いてる手を止めてチラッとこちらを見た。
「。。。あぁ」
「美智留は大丈夫か?」
美智留の事を新津に聞くのは、癪(シャク)だった。
「あぁ。。。浅岡?」
新津が僕の名前を呼んだ。
「何だ?」
「僕。。。もう手加減しない。美智留ちゃんを諦めないから。美智留ちゃんは僕が浅岡から奪う」
はっ?
「美智留は僕の者だ。絶対、渡さない」
そう言ったら新津は鼻で笑った。
「浅岡には美香が居るだろ?浅岡はお腹の赤ちゃんの父親なんだからさ」
勝ち誇った顔の新津が憎らしい。
「あれは美香の嘘だ。僕は美香とは一度もそんな関係になった事はない。それはハッキリ言える。美智留にもその事をちゃんと話そうと思ってる」
そこまで一気にまくし立てる様に話した。
「そんな、今更だろ?それが、たとえ、嘘だとしても嘘だと言う証拠は?」
証拠?