第10章 大切な人
僕達は楽屋を出てテレビ局の廊下を歩いた。
テレビ局の食堂に入り椅子に腰掛けた。
「浅岡、だいたいの話は美智留から聞いた」
「。。。うん」
「で?美香の話って本当の事なのか?」
嘘だとハッキリ言える。
でも、どうして美香が、あんな嘘を美智留が居るのに言ったのかは、全く分からない。
「いや、本当の事ではない」
小橋は煙草に火を付けた。
「じゃあ、どうして美智留に嘘だって言ってやらないんだ?」
そうだよな。
「美香が急に見に覚えがない事を言って僕は、美香が言った事を理解するのに時間がかかった。その間に美智留はショックを受けて飛び出してしまったんだ」
「電話やLINEは?」
「電話は何度も掛けたけど出てくれなかった」
小橋は頭を抱えた。
「浅岡、このままだと新津に美智留を取られるゾ?良いのか?それで」
小橋にそう言われて嫉妬で胸がキュ〜ッと締め付けられた。
「それは、絶対に嫌だ。美智留は僕の全てなんだ。絶対失いたくない」