第10章 大切な人
【雄也side】
〜テレビ局の楽屋にて〜
僕は一体、何やってるんだ?
大切な彼女を悲しませて。
何だか自暴自棄になってしまった僕は、これから歌番組の本番だって言うのに、ちゃんと歌える気がしなかった。
そんな時にLINEの通知音が鳴ったので慌てて画面を開いた。
相手は春香だった。
ガッカリした僕はLINEを開かないで、そのままスマホを机に置いた。
はぁ〜。
ため息しか出て来ない。
美智留の声が聞きたい。
美智留に会いたい。
美智留に触れたい。
夜中のコンビニでの新津と美智留を思い出し胸が締め付けられるみたいに苦しくなった。
他の奴に美智留を取られるかも知れない。
美智留の事が好きな奴は僕が知ってるだけで2人は居る。
その考えが頭を支配した。
ガチャッ
「浅岡、来てたのか?ちょっと話がある」
小橋が楽屋に入るなり話があると呼び出された。
「あぁ」
何の話かは想像が付く。