第6章 余裕がない心
「兄貴は彼女の事どう思ってる?」
「僕も彼女が好きだ。だから、例え、中学生の頃の約束だとしても絶対彼女を和也には渡さない。」
和也は鼻で笑った。
「兄貴は、彼女に告白すら出来てないんだろ?そんな奴に負ける気しないね(笑)」
どんなけ馬鹿にするんだ?和也は。
何だか悔しかった。
彼女が和也と付き合うかもと思うと胸が苦しくて仕方なかった。
美智留ちゃんの声が聞きたい。
今すぐ会って思いっ切り抱き締めたい。
そんな衝動にかられた。
「ごめん、彼女だけは譲れない。」
和也の目を直視して言った。
「そんなに好きなんだ。兄貴が、誰かをそんな風に想う事なんてなかったのにね?彼女は違うんだ。」
「あぁ。彼女は特別なんだ。」
コーヒーを飲みながら彼女の事を思い浮かべた。
だけど和也の言う様に告白する自信がないのは事実だ。
悔しいけど。
それから和也は「僕は手加減しないから。兄貴に宣戦布告」と言って帰って行った。
はぁ〜〜、ため息しか出て来ない。