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夢の片隅で

第6章 余裕がない心


確かに、そんな話、和也から聞いた様な気がする。

だけど、どうして今更、そんな話?

「毎日、彼女と遊んでるウチに彼女と結婚したいって子供ながらに本気で思って、本物は、まだ買えないから、おもちゃだけど婚約の印として指輪をプレゼントした。彼女も僕の気持ちに応えてくれて彼女が大切にしてたキーホルダーを僕にくれたんだ。それ以来、彼女には会えなかった。彼女の名前は分かってたから、大人になってから今まで色んな方法で必死に探した。でも昨日まで見付からなかった。」

えっ?昨日まで?

「ま、まさか、見付かったのか?」

何か自分の事の様に嬉しかった。

何となく誰かを探してるのは気付いてたから。

「。。。あぁ。彼女の名前は小橋。。。美智留。」
  
。。。えっ?

な、何言ってるんだ?和也は。。。

僕をからかって楽しんでるのか?

「そうだよな?そうなるよな?(笑)これマジだから。」

「お前、もしかして美智留ちゃんに会ったのか?」

僕は酷く動揺していた。

「あぁ。兄貴が今朝、彼女が働いてる歯医者、教えてくれただろ?速攻、会いに行った。」

て、手の震えが止まらない。

「彼女、めちゃくちゃ可愛くなっててビックリしたよ。スゲー僕のタイプど真ん中。」

和也、まさか。

「美智留ちゃんもガキの頃の事、ちゃんと覚えててくれてたよ。それが、めちゃくちゃ嬉しかったんだ。」

胸がチクチク痛みだした。

「兄貴、僕、美智留ちゃんに気持ちぶつけて来たよ。美智留ちゃんが好きだって。ちゃんと僕の者にしてみせるってね。」

えっ?

胸が嫉妬で息苦しい。
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