第5章 初恋の彼の正体は?
「行く。行きたい。」
気付いたら行きたいと返事をしてた。
『本当に?やった〜』
電話の向こうで子供みたいに、はしゃいでる雄也さん。
「うふふ」
思わず笑ってしまった。
雄也さんに会える。
久しぶりに会える。
嬉しくて泣きそうになったけど、ぐっと唇を噛んで耐えた。
電話を終えた私に美結が目の前でニヤニヤしながら聞いて来る。
「明後日、浅岡さんに会うの〜?」
も、もう!からかうの止めてよ。
『さっ、歯磨きして来ようっと』
目の前でニヤけてる美結を無視し椅子から立ち上がり歯を磨く為に手洗い場に行った。
明後日、どんな服着て行こうかな?
歯磨きをしながら明後日の事が楽しみでウキウキして居た。
♪〜♪〜
ついつい鼻歌が出てしまう。
毎日毎日、雄也さんで頭が一杯になる。
かなりの重症。
良いのよ、良いのよ、自覚してるから。
歯科衛生士の仕事をしている私は、午後の診察が始まっても患者さんの前で自然に鼻歌が出ていた。
「美智留ちゃん、ご機嫌だね。何か良い事あったの?(笑)」
患者さんに声を掛けられて恥ずかしくなった。
どんなけ浮かれてるの?私。
次の患者さんを呼ぼうとカルテに目をやる。
「えっ?あさ、、、おか?」
雄也さんと同じ名字にドキッとした。
名字が同じ位で何を動揺してるの?
もう病気だな、これは(笑)
「浅岡和也さ〜ん、お待たせしました。」
次の雄也さんと同じ名字の患者さんを呼んだ。
「えっ?」
私、かなり重症みたい。
下の名前が違うのに私には雄也さんと顔や背丈がそっくりに見える。
な、何で?
目まで可笑しくなった?