• テキストサイズ

夢の片隅で

第4章 好きになった理由


「それで、これ、私の宝物」

そう言っておもちゃの指輪を財布から取り出してお兄ちゃんに見せた。

「あっこれ、まだ持ってたんだな」

お兄ちゃんは懐かしそうに目を細めて言った。

「当たり前だよ。私が、おばあちゃん家から帰る前の日、その男の子が私にくれた物なんだから捨てれる訳ないでしょ?大人になったら結婚しようって、まだ本物は買えないからってくれたんだもん。そして私は、あの頃大好きで見てたアニメのキーホルダーをあげたの」

少し思い出しウルウルしてしまった。

「あの男の子、今、どこで何をしてるのかな?」

少しホロッとしちゃった。

「あ〜浅岡に言っちゃうよ〜(笑)」

お兄ちゃんは意地悪そうに言った。

「ち、違うもん。私の中学生の時の綺麗な思い出だもん。」

焦って早口でお兄ちゃんにまくし立てた。

「雄也さんって、あの時の男の子に何となく似てる気がするの。雰囲気も。雄也さんみたいに歌も上手な男の子だったなぁ」

中学生の時の事を未だに、こんなにもハッキリ覚えてるなんて不思議だった。

この後、神様の悪戯?と思う様な出来事が起こるなんて、この時の私には全く想像もして居なかった。
/ 129ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp