第4章 好きになった理由
「うん、だ、大丈夫。さっきは、本当にありがとう。雄也さんが来てくれてなかったら、どうなってたか考えただけで恐い」
雄也さんは、ギュッと恋人繋ぎをしている手を安心させるみたいに握ってくれた。
凄く安心する。
「元はと言えば、僕が、美智留ちゃんを一人置いて飲み物なんか買いに行ったから悪いんだ。僕のせいだ。ごめんね。」
雄也さんは自分が悪かったと頭を下げた。
「や、止めてよ。そんな風に思ってないから。雄也さんが助けに来てくれて本当に嬉しかったんだから。」
笑顔でそう言うと安心した様に笑顔を見せてくれた。
「それにしても美桜には困ったもんだな。」
「それだけ真剣に雄也さんの事、好きって事でしょ?」
自分で言ってて悲しくなって来る。
「そうかも知れないけど、他の人を傷付けるのは違うと思う。」
確かにそうだけどね。
「さっ、仕切り直してお祭りを楽しも」
雄也さんが嫌な出来事を吹き飛ばす様に元気にそう言ってくれた。
それから私達は、屋台や打ち上げ花火を楽しんだ。
雄也さんと居る時間が本当に幸せ。
暖かくて、どこか懐かしくて、一緒に居て安心出来る存在。
こんな人、きっと世界中、どこを探しても見付からない。