第3章 ライバル宣言
「あ、あの〜」
やっとの想いで絞り出した言葉だった。
「何かしら?」
足を組みながら答えた美桜さん。
「わ、私は。。。」
ごくんと唾を飲み込み息を吐いた。
「雄也さんのファンの一人です。」
ギュッと握り拳を作って目に一杯、涙を溜めながら、そう答えた。
「あら?そうなの?私の勘違いだったのかしら?貴女も雄也の事、好きなんだと思ったんだけど、ただのファンなら、それで良いゎ。雄也に、これ以上ちょっかい出さないでね(笑)楽屋にも来ないでもらいたいゎ」
えっ?そ、そんな。
「ただのファンが楽屋に来て良い訳ないでしょ?」
私は愕然とした。
「あと、雄也にこれ以上、近付かないでちょうだい。会ったり、LINEしたりなんかしたら、どうなるか分かってるんでしょうね?私は雄也の大事な人なの。この意味が分かるかしら?」
そ、そんな。。。
大事な人って事は、やっぱり。。。
む、胸が。。。苦しい。
息が出来ない。
苦しい。
雄也さん。。。助けて。。。
自分の胸に手を当てた。
本当は雄也さんの事、どうしようもない位、好き。
だから近付かないなんて事、出来ない。
でも、いう事を聞かないと美桜さんに何をされるか分からない。
会場のライトが暗くなりライブが始まる事を知らせてる。
会場中に黄色い歓声が聞こえて来た。
いよいよ始まるんだ。
でも私は美桜さんとの会話の事が気になり、せっかくのライブを楽しむ事が出来なかった。
隣で美桜さんが私を横目に見てニヤリと笑ってたなんて全然知らなかった。