第2章 彼女の心の中は
浴室に着くと、玲華は頭から湯をかぶった。手早く頭と体を洗うと湯に浸かる。
(結局、わからないわ。音柱様が何を考えてるか。)
玲華は湯から上がった。
(どうして私は音柱様のことを考えてるのかしら。)
体を拭くと、隊服を身につける。
(最近考えるのは音柱様のことばかり。なぜかしら。)
玲華は台所で水を一杯飲むと、自室に戻った。ふと、机の上の本が目に入る。何日か前にアオイからほぼ無理矢理貸されたものだった。
(恋愛小説か。恋愛なんて、よくわからないわ。)
本を手に取り、パラパラとページを捲る。
『寝ても覚めても考えるのは貴方のことばかり。』
突然、そんな一節が目に飛び込んできた。
(寝ても覚めても貴方のこと、ね。そんなことあるのかしら。)
そこで、玲華はふと気づく。
(あれ?私ずっと音柱様のこと考えてない?)
今日一日振り返ってみても、考えていたのは、音柱・宇髄天元のことばかりだった。玲華の顔が見る見る赤くなる。
(寝ても覚めても、ってこう言うこと?でも、私は、、、うん、嫌いじゃないわ、音柱様のこと。嫌いじゃない。むしろ、、、)
玲華は慌てて本を閉じると、机に置いた。
もう夕方だ。そろそろ任務に行かなければ。
玲華は刀を持って立ち上がった。