第2章 ふたりのソルジャー
六番街を抜けると、目の前に小さな公園が現れた。
滑り台や砂場、ブランコなど、必要最低限の物が、狭い空間に所狭しと押し込められている。
「うわぁ、懐かしい!」
「まだあったんだね、この公園」
感傷深そうに公園を見つめる二人を、クラウドは後ろから眺める。
小さい頃に遊んでいた公園だろうか。
「あのゲートを抜ければ七番街よ」
公園の向こうに見えているゲートを指差しながら、エアリスが言った。
俺は頷く。
「なら、後は一人で大丈夫だ。あんた達は家に・・・」
「じゃあ、ここで少し休憩しましょうか」
俺の言葉を遮るようにそう言うと、エアリスは滑り台の方へ駆けていってしまった。
・・・まさか、店までついてくるつもりか?
「ごめんなさい。エアリス、帰る気ないみたい」
ミキが苦笑しながらそう言ったので、俺は肩をすくめた。
「そうみたいだな」
「ああなると言うこと聞かなくなっちゃうから・・・。私たちも一緒にお店まで行っても大丈夫?」
「俺は別に構わない」
俺の返事に、何故かミキは意外そうな顔をした。
「・・・本当? 私たちと一緒にいて、お店の女の人、怒らない?」
・・・ティファが怒る?
ミキが何を言っているのか、分からなかった。
俺が怪訝そうな顔をすると、ミキは慌てて顔の前で手を振る。
「ご、ごめん、何でもない。今の、忘れて」
訳が分からないが、忘れろと言われるとそれ以上言及できなかった。
「クラウド、こっち!」
エアリスが滑り台の上に登って、こちらに向かって手を振っている。
俺は彼女の方へ歩み寄った。
「クラウド、ソルジャーなんだよね」
滑り台に登り彼女の横に腰掛けると、エアリスはそう尋ねてきた。
「ああ」
「クラスは? ソルジャーのクラス」
「クラスは・・・」
一瞬、頭の中にノイズが走った。
「・・・クラスは、ファーストだ」
「ふ~ん。同じだ」
「誰と?」
「初恋の人」
意外な答えに、一瞬戸惑った。
初恋の人がソルジャー、か。
「・・・付き合ってた?」
「ううん。昔、花売りをしてるときに、ちょっといいなって思っただけ」
「知ってるやつかもしれないな。名前は?」
「・・・もう、いいの」
何故かエアリスは、寂しそうに呟きながら首を横に振った。