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【TOA夢】それでも私は生きていく【長編】

第2章 プロローグ 亡命


平和だった。
毎日が輝いていて、きっとこの先もずっと続くのだろうと思っていた。
…………あの日までは。



『しっかりしろ、ユキネ!!』

――――あぁ、この夢は…。

かすかに覚えてる、幼い頃の記憶。
私とシノンの前で血の海に倒れている少女と怪しい男。
少女を必死に呼びかけるのは彼女の父親だ。
そして既に事切れている怪しい男は…私達を狙った刺客だった。
私とシノンより四つ年上の、私達を守ってくれた彼女は…。


「はっ…!!はぁ…っ!」

ヒュッと息が詰まる。
慌てて起こした体を抱きしめるようにしながら、深呼吸をした。
辺りを見回して自分の部屋だと気づいて、少しホッとする。

「…。久しぶりに見たな、あの夢…」

過去の夢。
そしてその夢を見た日は、決まって良くない事が起こる。
過去の夢なので予知夢ではないが、何かの前触れのように見る夢のようだった。

小さくため息をついて、沈んだ気持ちのままハノンは部屋を出た。



「おはようハノン!……何かあった?」

食堂までの廊下で、シノンがハノンへ声をかける。
シノンはハノンの双子の妹だ。
双子だからなのか、お互いの事がよく分かる。
特にハノンはすぐ顔に出るのでシノンはすぐ気づくのだ。

開口一番言われた言葉にハノンが苦笑いをした。

「本当にシノンには隠し事ができないなぁ…」
「当然でしょ!ていうか妹に隠し事なんてしないでよね!」

ギュッと抱きついてくるシノンを嬉しそうに受け止めるハノン。
そして夢見が悪かったのだと素直にシノンへ伝えた。
シノンはハノンから昔から夢の話は聞いていた。
その夢を見た日は良くない事が起こる事も。
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