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【TOA夢】それでも私は生きていく【長編】

第3章 第一話 運命


つまらねーと文句を言うルークを見ながらハノンは首を傾げた。

「…ルーク様は街の外にあまり出られないのですか?」
「まーな。ずっと屋敷の中で暮らしてたからな」
「魔物も居て、今は暗くて不気味な感じだけど、それでもここは美しいところなんじゃないかしら。…これのほどの自然を見たことがないもの」

少しひんやりとした風が五人の間を吹き抜ける。
サラサラと流れた長い髪をティアは手で押さえた。
虫の鳴き声が静かな夜に響く。
これが明るい時間帯なら、今度は動物たちの気配が感じられるのではないだろうか。



「こちらで少しお待ち下さい」

少し進んだ所でユキネがルークとティアにそう告げ、ハノンとシノンに目配せをして去っていく。
なんだ?と首を傾げたルークにハノンが説明した。

「私たちの野営地があるんです。夜を越そうと休むところでしたので」
「こんな魔物がうじゃうじゃいる所で休むつもりだったのか!?」
「はい。夜に動くのは危険だと判断して…」

俺だったらぜってーやだとルークは言った。
その言葉にハノンは苦笑する。
出会ってからのルークの行動を見ていたが、とてもじゃないが野宿などしたいと思わないだろうとハノンは思っていた。
ユキネもそう思ったから片付けに戻ったのだろう。

本当は夜は休んで日が昇ってから動いた方が良いと思うのだが。

程なくして、ユキネが荷物を抱えて戻ってくる。

「お待たせしました。それでは向かいましょう」

五人は渓谷の出口へと向かって歩みを進めた。



それから数時間後。
渓谷の半分くらい来ただろうかという所で、ルークが足を止めた。

「くっそー!まだ着かないのかよ!」
「まだ出口は見えてきてませんね。もう少しかかるかと…」

ハノンの言葉にルークは頭をガシガシと手で掻きながら近くの岩へ座り込む。
ちょっと休憩だ!と叫んだルークに、ハノンたちは分かりましたと答える。
誰がどう見ても、ルークはイライラしていると分かる。
そんな彼へ近づいたのはティアだった。

「ごめんなさい。私が必ず屋敷まで送るから」
「ったりまえだっつーの!!」
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