第1章 1
「あの、さ、俺、君のこと、好きなんだよね・・・」
次の瞬間、ちゃんに気持ちを伝える自分の声が聞こえて、自分でも驚いた。
俺の驚きをさらに上回った驚きに目を見開くちゃんを見ながら、俺は彼女を抱えたまま体を反転させ、彼女の上に覆いかぶさった。
「下野さん?」
おどおどと俺を呼ぶ彼女が可愛くてたまらない。
俺は小さく微笑んで見せた。
ゆっくりと顔を近づけ、額にそっとキスをした。
「ごめんね、怖がらせちゃった?何もしないから大丈夫だよ。ごめんね、変なこと言って。忘れてくれていいから」
俺はちょっと自嘲気味に微笑んでゆっくりと体を起こそうとした。
「下野さんっ」
ちゃんの声が俺を呼んで、彼女の小さな手が俺を引き止めるように俺のシャツを掴んだ。
「ちゃん?」
「わたしも・・・好きです・・・ずっと・・・好きでした・・・」
言いながら彼女の瞳からひとしずく涙がこぼれ落ちる。
うん、知ってた。
俺の中で若干の罪悪感が生まれる。
彼女が俺を盗み見る視線はずっと感じていた。
好意を持ってくれていることはわかっていた。
彼女からこの言葉を聞きたいがために、俺はあえてちょっと意地悪をした。
「・・・ごめんね、泣かないで」
俺はそっと涙の筋を拭うと頬に口付けた。