第5章 お酒
そして夜
雪の部屋には4人の影があった
「お酒持ってきましたよ」
「お、ナイス!さすが硝子ちゃん」
お酒が入ったビニール袋を持ち上げる硝子に雪は両手で指をさしてウインクする
「おい傑、俺らって学生だよな未成年の」
「あぁ。間違いないよ」
嬉しそうな顔をする2人を前にして男二人はヒソヒソと話し出す
女2人がお酒を飲んだ経験があり、男二人はまだないらしい
「つーか先輩、この前硝子が煙草吸っててびっくりしてたじゃん」
「煙草おいしくないじゃん」
「吸ったことあんのかよ」
五条の指摘に苦そうな顔を作る
雪に煙草は合わなかったらしい
「とにかく辛気臭い話はお酒あった方がいいんだって。愚痴のお供には酒」
ビニール袋を漁りながら雪は楽しそうに言った
お酒のおつまみを愚痴にするというなんとも性格の悪いことを雪はしようとしている
とりあえず来た3人を好きなところに座らせる
家入は勉強椅子の上、夏油はカーペットの上、五条はベットの上だ
「え、女の部屋来てベット座るってどーよ。別にいいんだけどさ」
迷わずベットの上に腰を下ろした五条を見て雪は変な顔をした
普通異性の友達部屋に来たらベットに無許可で乗るものではない。常識的に考えて。というか異性でなくともだ
「1番座り心地良さそうじゃん」
「へーへーそーですか」
「雪先輩、お酒早く飲みましょーよ」
家入は待ちきれないという感じで雪を見る
その純粋な瞳に「可愛いけど この目をする時がお酒を飲む時ってのがどうなんだろ」と複雑な気持ちになりながら、好きなお酒を選んだ