第3章 不思議な人
「なにこれ…手紙?」
硝子が裏面になっていた手紙を文の書いてある表にひっくり返そうとした時、
「あっ、あー!!ありがとうね!」
先輩は急に声を上げてその紙をひったくった
「えっ」
「これ大事な書類なの。ちょっと見られたら不味いんだよね」
じゃあ落とすなよ
そう言いそうになったが先輩の居心地悪そうな顔を見て辞めた 。これは何か事情がありそうだ
「おい、硝子。早く行くぞ」
「…おけ。」
俺は硝子を呼んで3人で教室に向かう
「じゃ、また昼休みにー」
先輩は後ろで手を振っていた
そして俺は少し経ったあと後ろを振り返る
先輩はもうこっちを見ておらず手元の紙を見ていた
そして1つため息をこぼして踵を返した
「……。」
俺は少し複雑な心情のまま前を向く
その手紙が1ヶ月後、あの言葉に繋がることをまだ知らずに
『私とデートして』