第4章 愛しき余香【五条視点】★
「ゆめ、挿れるよ」
張った陰茎の先端が穴をこじ開けると、ゆめの腰に力が入る。
ゆっくり腰を沈めながら、痛くないか、苦しくないかを彼女に問う。
ゆめは無言でコクンと頷いたが、健気に手が震えるほどシーツを握りしめ、顔を真っ赤にさせて短く呼吸を繰り返していた。
滑りが良くて、やろうと思えば一気に奥まで挿入し、思いっきり欲を突き立てることはできる。
でも、それはしたくない。欲の赴くままに、彼女を手荒に抱くことはしたくなかった。
「ねぇ、ゆめ……まだ離れようと思ってるなら、離れられなくなる理由をあげようか」
囁いた僕の言葉に、彼女の目が見開かれる。
「僕を憎んでも構わないし、すべてを僕のせいにしたっていい」
これから、僕は卑怯な手を使う。僕の人生に彼女を縛り付ける。
ゴム無しで挿入したことに気付いたのか、彼女の視線が結合部に向いた瞬間に、中が切なげにきゅうっと締まった。
ゆめは僕を好きだと言ってくれたけど、翌朝静かに跡形もなく僕の元を去るのではないかという不安が拭えない。
掴んだと思ったら、思った瞬間に、するりと指の間を抜けていく。
彼女は、そういう人だ。
「……ゆめ、君の心を手に入れたって証が、欲しい」
奥まで届くようにグイッと腰を押し付けると、息を呑んだゆめが、首を振りながら僕の腹部を押し返して抜こうとする。
快感から逃げようと後退する細い体を押さえつけ、感じる箇所を狙って湿った肌を打ち付ける。
結合部からは愛液が溢れ出し、ぱちゅんぱちんっと肌同士がぶつかり合う音が響く度に、ゆめの瞳が潤み、刺激を耐え忍ぶ表情になる。
「あぁっ、んぅ……はぁ、あっ、いやぁ」
ゆめも僕の覚悟を察したのか、焦らすように止まって少し揺するだけで、内壁が収縮して奥へ奥へと誘うように妖しく動く。
嫌と口走りながらも、頬を染め、可愛い唇を半開きにして小さく甘い声を洩らすのがたまらない。
ぐちゅり、ぬぷりといやらしい音が響く。
膣奥を小突くと、吸いつくように絡んで、ゆるく優しく締め上げてくる。
避妊具を着けずに味わう好きな人の中は温かくて、気持ち良くて、無心で腰を動かす。
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