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【呪術廻戦】御当主様は褒められたい【R18】

第1章 尻尾は振らない【五条視点】




「ゆめ、この書類の山、1時間で片付けたらご褒美くれる?」

「当主がやるべき、当たり前の仕事にご褒美が要りますか」

「じゃあ、終わったら一緒にお菓子でも食べようか」


1分1秒でも長くゆめと一緒に居たい。

悪あがきをしながら、年甲斐もなく駄々をこねながら、ゆめの感情を掻き乱して反応をうかがう。

我ながら、ガキの頃となんら成長していないと思う。反抗期の時もゆめには心配と迷惑をかけた。

あまりにもゆめにベッタリだから、僕が高専に入学したタイミングで彼女にお見合い話が持ち上がった。

ただ、お見合い相手が女を見下す鼻持ちならない奴だったらしい。

2人になったタイミングで乱暴されそうになったゆめが髪に刺していた簪を抜き取り、尖った先端を相手の喉元にあてがって「強い人じゃないと興味が湧かないの」と吐き捨て、撃退した伝説が五条家の使用人の間で噂として広まっているが、真相はどうなんだろうか。

お見合い失敗、としか僕には結果は聞かされなかったけれど。

僕より3歳ほど年上だが、その出来事以来、見合いの話も浮上せずに独身を貫いている。


「悟様……やれば出来るのに、なんでやらないんですか」


僕が処理し終えた書類に目を通しながら、ゆめが目を丸くしている。完璧です、と感嘆の声を漏らして次々と書類をチェックしている。


「ゆめ、僕とお菓子食べない?」

「私はまだやることがありますので、おひとりでどうぞ」


お茶を淹れてまいりますね、と颯爽と部屋を出ていく彼女の後ろ姿を見ながら、今日もうまく気を惹けなかったとガッカリしてため息を吐いた。


ゆめとは10年以上の付き合いになるか。

クソガキだった僕の振る舞いに動じもせず、逆に攻撃してきた鮮烈な出会い。

僕に人の理を説き、当主の心構えについて教えてくれた。両親に叱られた時は、何がいけなかったのか、どこを間違えたのか、どうすべきだったのか、目線を合わせながら一緒に考えてくれた。


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