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【呪術廻戦】御当主様は褒められたい【R18】

第3章 花氷【夢主視点】



悟様が最近は調子に乗って稽古をサボり気味だと聞いた。

自分の立ち位置を理解し、早急に強くなってもらわないと困る。

四面楚歌になった時、側仕えの死体が足元に何体転がろうと、彼一人でも生き残ってもらわねば。


結局、二人とも暴れに暴れ、全身土埃に塗れ、庭の地面が抉れ、仲裁に入った当時の女中頭から大目玉を食らった。


だが、この出来事が悟様に火をつけた。

たかが女中の私を瞬殺出来なかったのが癪に触ったらしい。毎日欠かさず稽古を積み、呪力コントロールも術式の理解と応用も、めきめきと上達していった。


「……なぁ、ゆめ」

「なんですか、悟様」

「あのさ、俺の髪って変?」


ある時、帰ってきて開口一番に聞いてきたことが髪のことだった。

唐突過ぎたので、順を追って話を聞くと、近所の子らに「白髪は年寄りだからオマエの髪はおかしい」と言われて、からかわれたらしい。


「目も、なんでみんなと違うんだよ……」


無下限呪術を相伝した者は白髪になる。

六眼を生まれつき持てば青い瞳になる。

それは五条家の血を引く、正統な誇り高き証。


「オマエは拾われてきた子だろうって言われて……こんなに厳しい修行させられるのも、俺が本当の……」


そこまで言って、悟様は口をつぐんだ。

本当に難しい年頃だ。五条家の血を引く証などと、大人の事情を話しても不安は解けないだろう。


「悟様、こちらへ」


正座を崩して横座りし、私は自分の膝をポンポンと手のひらで叩いた。

彼は瞳をパチクリとさせながら、おずおずと私の膝に頭を載せてくる。


「周りと違ったって良いでしょう。悟様だけの個性ではありませんか」

「嫌だ、俺も黒い髪が良かった」


頬を膨らませ、いじける悟様の髪をゆっくりと撫でる。やわらかく白い髪を指で梳くと、くつろぐ猫のように、彼の目が細められる。


「悟様の髪、白くて綺麗だと思いますよ」


安心させるために、顔を覗き込んで笑ってみせると、驚いた様子の彼が目を見開いた。


「ゆめって笑えるんだな」

「……はい?悟様、喧嘩売ってますか」


家業のせいで、感情を面に出さないことを日常としてきた。



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