第2章 【燭さに/現パロ】溺愛ダーリン
「光忠せんせぇ~♪」
「君達、また来たのかい?」
「休み時間の度にわざわざ
僕に会いに来て、本当に熱心だね。
勉学にもそれくらい熱中して欲しいな」
なんて、容姿端麗の甘い笑顔で優しく
女生徒達の相手をしている彼は、
我が校の人気No.1イケメン養護教諭。
今年の春、この高校に赴任して来た
保健の先生、長船光忠さん。
あーあ、本当にね、妬けちゃうよね。
だって彼は、光忠先生は……
私の、旦那様なんだから。
そう。私と光忠先生は、幼少の頃に
家が隣同士だった幼馴染みの間柄。
『わたし、ぜったいにみっちゃんの
およめさんになるんだから!』なんて
宣言をした(らしい)、本人である私は
すっかり忘れていたというのに、
彼の方は、ちゃんと忘れずに覚えていて。
赴任して来た彼の「約束、叶えに来たよ」
という言葉の通り、今年の6月、
所謂ジューンブライドでお嫁さんになった
噂のJK新妻とは、この私である。
校内では勿論、夫婦である事は秘密だし、
同居している事も隠しているから、
誰も私達の関係の事は知らない。
だから、学校での彼は、恋人がいない
女生徒や女教師から必然的に狙われて、
それはもう、沢山の誘惑の目で見られ、
色仕掛け攻撃を受けている。
それを、彼もまた普通に優しく受け止めて
相手をしてあげるもんだから、だいぶ……
うん、精神的嫌悪感のストレスがやばい。
こうして私が、カーテン一枚を仕切りに
ベッドに寝ていて、会話を全部
聞いているのだって、恐らく彼は
とっくに気付いているはずだ。
私の旦那様は基本とっても優しい人だけど、
妻の私には大変意地悪なドSだと思う。
授業開始を告げるチャイムが鳴り、
女生徒達が名残惜しそうに教室へ帰ると、
途端に保健室内は静寂に包まれる。
今、この空間には、私と光忠しか居ない。
シャッとカーテンが開けられた後、
すぐに後ろ手で閉めた気配がして、
まもなく、布団を被って寝ている私に
光忠が甘えるように覆いかぶさって来た。
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