第2章 星の雨と共に【占い師】
おはようございます。ルルア・パーキンストンです。
私がいる場所は、なんと赤の教会。
三日に一度、マップを清掃する仕事が存在するのですが、それは昨日したばかり。さて、なぜ私はここにいるのでしょうか?
正解は“試合に巻き込まれたから”。あれれ、おっかしいな。
メンバーは占い師、囚人、一等航海士、祭司でハンターは結魂者。
試合が始まってはや8分。私は初めから中央教会の長椅子に座って待機しています。
暗号機は残り2台、囚人、占い師がそれぞれ一吊り、といったところでしょうか。ハンターがうまく暗号機を守れるかどうかが見所です。
あ、1台上がった。
参加者ではないのに、なぜ試合の進行度がわかるのかは不明だけれども。
『早いなぁ…』
ルルアがそう呟いて、外を覗いた時。
ぽつり、ぽつりと水が落ちてくる音がしたかと思えば、すぐにザーザーと、雨が降り始めた。
『…雨かぁ…、あ、洗濯物…!』
今日は雲が薄いから、と調子に乗って干した洗濯物が、今頃濡れているだろう。こんなことになったのは、全てこの不具合のせいだ。きっと。
意味のない言い訳を繰り返していると、誰かが駆け足で入ってくる。
クラークさんだった。
泥や汗、それに血と雨が混ざり、グチャグチャになっている。
『クラークさん…?大丈夫ですか?』
「あー…うん、大丈夫。失礼するよ」
そう言って私の隣に座ってくる。そうすると、なんとも言えない臭いがより一層強くなる。
「そういえば、なぜここに?」
『さあ…試合開始とともに飛ばされてしまったのでわかりません』
…会話が続かず、気まずい空気が流れる。
ちら、と隣を見ると、クラークさんはローブを脱いでいた。
普段は見えない、首回りやゴツゴツとした腕が露わになる。華奢ながらも、やはり男性なのだとわからされる。
今まで見たことのない強さの色気に、顔が熱くなる気がした。
「…どうしたんだい?熱か?」
私のおでこに触れる大きな手。
『い、いや、少し暑くて』
暑いのは嘘じゃない。ただ、それだけじゃないことが、彼には全てバレてしまっている気がして、落ち着かなくなる。
なぜだか、彼が近づくほど、心臓の動きが速くなっていく。
今までのように、普通に話すことが難しい。
私がこれまで生きてきた中で、初めての感覚だった。