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【第五人格】霧襖の園【短編集】

第2章 星の雨と共に【占い師】


女性主人公
プレイヤー達のケア係的な奴
イライより3つ年上
※弊荘園でのクラークさんは意識しないと天眼が発動しません

主人公『』
イライ「」
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「誰かに褒めてもらいたい」

『急にどうしたんですか』

普段の性格の面影もない、影のある表情でつぶやく。

穏やかな性格で人気の彼が、霧を纏っているようなどんよりした空気だ。

普段は綺麗な彼の机も、お世辞にも綺麗とはいえなかった。

「そこは褒めるところ」

『きゃークラークさんすごーい』

「心がこもってないと意味が無いだろ」

『マフィンあげるから頑張ってください』

「マフィンぐらいでそんな気力起きない…」

ここはイライ・クラークの自室。本日、彼は試合の予定が少ないので、自室で休んでいる。

元々「クラークに昼食持って行ってあげて」と言われてやってきたのだが、この有様である。

丁寧な口調も崩れ、朝はきっちり整えられていたはずの服も皺だらけ、おまけに常に半分空いた口。

毎日毎日試合へと赴きすぎて壊れたのだろうか。

駄々をこねる少年のようで少し面倒臭いが、そこに可愛らしさも認識してしまう。ついに私の脳は破壊されたようだ。

「…今面倒臭いとか思っただろう」

『ははっ…気のせいですよ』

突然思考にクリーンヒットされ、思わず目を逸らす。

『食事の時間は大事ですよ』

話をずらすかのように、昼食の温かなポタージュを差し出すと、少しぶつぶつと文句を言いつつも口に入れる。

小動物の様な顔で食べるのでつい撫でてしまいそうになるが、寸でのところで抑える。

『クラークさんは頑張っていると私は思います。本当に凄いです』

「…!」

まるで百面相でもしているかのように表情が変わる姿は、頭を撫でてやりたくなるくらい可愛かった。

彼はどこからどう見ても明らかに男性であるはずなのに、某ゆるいキャラクター的な可愛さを含んだマスコットのように見える。

ふと時計を見ると、いつの間にか10分ほど経っていた。いつもより長居してしまったようだ。

『昼食、冷めないうちに食べてくださいね』

そう言い残して部屋を出ると、次の仕事へと足を進める。

いつもは一人当たり5分程度で済ませていたから、その後の調整が少し面倒臭かったのは秘密。
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