第3章 壊れた幸せ
生ぬるい風が吹き、不安に染まる胸を抑えた時だった。
「ゴワス様!」
ザマスの焦る声に走り出した。
辿り着いて見たものは、倒れているゴワスに近づくザマスだったが、ゴワスの体が消えて息を飲む。
「……なんで、こんなはずじゃ」
理解できない光景に愕然とする。
「お前も、こうしたかったのだろう?お前もこれで界王神だ」
「……誰だ………お前は」」
凶悪な笑みを湛えた男が言った。
「私は……お前だ」
「は……お前は、私……」
「私は過去から正義を求めてやって来た。悪を滅ぼすために」
「……っ」
偽物の悟空が片耳からポタラを外し、ザマスに差し出す。動揺しながら手を伸ばすザマスに耐えきれず強く歯を食いしばって、彼らの元へ歩み出る。
「ザマス様、その男に付いて行ってはいけません!」
「天月何をしている、出てきてはダメだ」
「なっ、人間だと!おいザマスよ、何を考えている。まあいい消えろ人間!」」
手に気を纏わせて殺意のこもった視線を向け腕を振り上げるが、ザマスが間に入り叫ぶ。
「頼む天月だけは助けてくれ」
「何だと……?」
「過去の私よ………頼む」
微かに声を震わせるザマスが痛々しい。
「天月逃げろ、帰る方法ならある。私の部屋にある水晶玉に願うのだ」
「ザマス!」
「行け!!」
怒りを堪えて走り出した。
「天月ちゃん!」
廊下で2人と出くわす。
「行こう地球へ」
「詳しいことは……」
「地球でだよね」
友香の言葉に頷いた。
3人で顔を見合わせていると、目の前が白く染まりそっと目を閉じた。
眩しいほどの光が収まり目を開いて辺りを確認すると、どこかの草原に立っていた。
「無事地球に着いたみたいだね」
「でもどうしてだろう?」
日夏と友香の疑問に仮説を立てる。
「おそらく何かあった時のために、ザマスが地球に転送できるようにでもしたんじゃないの?知らんけど」
「……何かあった時………かあ」
その何かがあってしまったことに思い空気が流れる。
「取り敢えず悟空たちを探そう。ここは絶望の世界じゃないと思うから」
3人は手分けして探すことにした。