第6章 血 *R
目を覚ますと私は病院のベッドの上にいた。
腕には点滴の針が刺さり、そのお陰なのか酷い頭痛は治まっていた。
「ーーー?」
ずっと付き添ってくれたのか、硝子が心配そうに顔を覗き込んできた。
『・・・・硝子。』
「任務で倒れたって聞いて血の気引いたんだからね?」
『はは、、ごめん…、、』
硝子はホッとしたような様子で、パイプ椅子の背もたれにもたれかかった。
「貧血だって。」
『あー、、、やっぱり?』
白い天井をぼんやりと見上げる。
「、検査結果見せてもらったけど、コレかなり酷い数値だよ。」
硝子は一枚の紙を枕元に置いた。
私はその紙には目は通さず深いため息を吐いた。
『・・・ただの貧血でしょ?そんなん今更だよ…。私の術式は血を使うんだから仕方ない。』
「ーーー仕方ない?仕方なくないでしょ。
このままじゃ術師どころか、普通の生活だって出来なくなる。
実際、脳に血液が足りなくなって目眩が起きてるじゃない。」
この手の話は硝子には誤魔化しがきかない。
『・・・サプリとか肉?食べるし。』
「サプリって…。効果ないからこういう状況になってるんじゃないの?
さ、造血剤も飲んでないんじゃない?」
ーーーーやっぱりバレた。
何でも見透かしてしまいそうな視線を向けられ、私は仕方なく白状した。
『・・・・だって、、あれ飲むと便秘になるし、病院で処方してもらうの面倒で…。』
「はぁ〜〜。全く…。
今は病人だから説教はしないけどさ、
これからの事、一回ちゃんと考えた方が良いよ。」
『・・・・・。』
「術式で血を使って、さらに月に一度の生理。
・・・今の状況を続けてたら悪化する一方だよ?」
『ーーーー分かってる…』
拗ねたように口を尖らせぶっきらぼうに呟くと、硝子はため息を吐き立ち上がった。
「ーーとりあえず目を覚ました事、夜蛾と看護師に伝えてくる。」
『・・・ん。』
「・・・これからの事、私で良ければいつでも相談のるから。」
背中越しにそう言い残すと、硝子は静かに病室から出て行った。