第17章 それぞれの道 ※微R
上体を起こし、とりあえず手近にあった悟のTシャツに袖を通していると、クイッと裾を引っ張られた。
『・・ん?』
振り向くと、悟は枕に顔を半分埋めた状態で腕を伸ばし上目遣いでこちらを見て、何か言いたげな顔をしている。
『どうかした?』
首を傾けると、
「何かさ、こーゆうの良いなって。
・・普通の恋人っぽくて。」
悟の口から出た意外な台詞にフッと笑みを溢す。
『何それ〜?私達だって普通の恋人でしょ?
その辺のカップルと何ら変わらないよ。』
「そっか…ははっ、それもそうだね…。
フツーって良いもんなんだね。」
『・・・・。』
普通ーーーー。
五条家当主、そして現代最強の呪術師と呼ばれその名は術師なら誰もが知る人物。
例え術師じゃなくとも彼の容姿に惹かれ近づいてくる女性は今も昔も後をたたない。
学生の頃はそれなりに遊んでいるように見えたけど、、、
もしかしたら普通のカップルがするような、ごく当たり前のような事をあまりして来れなかったのかな…そんな気がした。