第17章 それぞれの道 ※微R
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私達が同棲を始めたのは約1年前。
私は卒業後も節約の為、寮暮らしをしていたのだけど、当初から悟は同棲を望んでた。
一緒に住みたい気持ちは勿論あったけど、
あの頃はとにかく色々必死だった。
術式を使えなくなった私は術師ではなく、補助監督としての仕事を身につける為、仕事をしながら日々勉強漬けの生活を送っていた。
今まで座学を怠っていた自分を呪い殺したいぐらいそれはもう地獄のような1年間だった…
最初は悟もなかなか2人の時間が取れない事に文句を言っていたけど、周りからの説得もあり、最終的には私の意思を尊重してくれた。
そして仕事にも慣れ少しずつ余裕が出来始めた頃、ある日突然寮の私室から荷物がゴッソリ消えた。
真っ青になり泥棒が入ったのかと通報しようとする私の横で、
「どーせ五条の仕業でしょ?」
と言う冷静な硝子の一言で警察沙汰にならずに済んだのがちょうど一年前のはなし。