第17章 それぞれの道 ※微R
私は車内に漂う微妙な空気を変えるべく、
『悟、今日はこの後任務ないよね⁇』
努めて明るい声で話し掛けた。
「んーー、ないけどー?」
頬杖を突き相変わらず外を眺める悟。
『じゃあさ、私も今日はこれで上がるから久々に料理作ろっかな!
何たべたい?悟が食べたいの作るよ?』
「えっ⁉︎マジ⁇」
ぐりんっと勢いよく顔の向きを変え、声のトーンが一気に上がる悟に、思わず吹き出しそうになってしまう。
『フフッ、まじまじ‼︎
悟は報告書とかまだ残った仕事あるでしょ?
私は先にスーパー寄って買い出しして支度してるね?』
「いや、もう報告書はさっき送ったから。
それに残った仕事は伊地知あたりに任せればいーし…よしっ!直帰しよう‼︎」
『えっ⁉︎ちょ、、そんな急にダメでしょ⁈
私荷物とか私服とか高専に、、』
言いかけた所でハンドルを握っていた手の上に大きな手が重ねられた。
「との時間が1秒でも惜しい。
今週は働き詰めで結構しんどいんだよね…
俺の事、癒してくんないの?」
・・・・ズルい。
時々こうして学生の頃の口調に戻って私を惑わす。
私が断れないと分かってて…。
『・・・・分かった。じゃあ帰ろっか?』
「やった‼︎じゃあハンバーグが良いかなぁ、いや、オムライスかなぁ、、ん〜迷うなぁ♪」
完全にご機嫌になった悟を横目に、
伊地知、、、ごめん。
心の中で手を合わせるとハンドルを切った。