第17章 それぞれの道 ※微R
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『もーーー‼︎超恥ずかしかったーー‼︎
知り合いならもっと早く教えてよっ‼︎』
ハンドルを操作しながら助手席に座る悟に愚痴を溢す。
悟は私が同行の時は後部座席には座らず、助手席に座るのがお決まりだ。
補助監督になりたての頃は『運転に集中出来ないから後ろに座って』と何度も催促したが頑なに隣に座ってくる悟に私が諦めた感じなのだけど…
「誰かさんの可愛い早とちりが見れて僕は大満足だけどね〜?」
ククッと喉奥を鳴らしご機嫌な様子でタブレットを操作している。
『・・真奈美さん、だっけ?傑が秘書を雇ったなんて知らなかったよ。
傑達、最近忙しそうだもんねー?』
私が逆ナンしてきたと勘違いした女性は傑が新たに雇ったという秘書だったのだ。
傑は高専卒業後、起業した。
起業と言っても一般的な会社とかではなく、高専とはまた違う趣旨の呪術師を育てる機関を独自で創り上げた。
そこは年齢問わず身寄りのない小さな子供や、術師だからと迫害を受け行き場を失くした人、様々な生い立ちを持つ彼らのサポートをしながら術師として育てる。
そして時には高専の生徒では難しいような任務も請け負い多忙な日々を送っている。
最初は傑が1人で始めた仕事だけど、翌年高専を卒業した灰原と七海がその理念に賛同し新たに加わった。
傑の特級術師としての才と知性、灰原の人柄、七海の明晰な頭脳の甲斐あって、ここ数年でさらに活躍の場を広げていた。