第15章 新たな季節
ーー
病室でお互いの気持ちを確かめ合った私と五条はその後、付き合っては、、、ない。
いくら想いが通じ合ったとはいえ、さすがに傑と別れたその日に五条と付き合うには気持ちの整理が付かず…
それは五条も分かってくれて、
「退院して気持ちの整理がつくまで待つから早く元気になれ。」
と言ってくれた。
それから毎日お見舞いに来てはぺちゃくちゃ喋っていく五条の甲斐あって(?)
予定よりだいぶ早く退院する事が出来た。
高専に戻って来た日、傑と久しぶりに顔を合わせた私は、緊張で強張った歪な笑顔を作り『ただいま…』と蚊の鳴くような声で呟くと、傑はフッと吹き出した。
「〜〜すまないっ、、想像以上に気まずそうな顔をしといるから、、可笑しくてついっ、、」
予想外の反応に目を瞬かせていると、今度は
優しく目を細め、
「おかえり。」
と私を迎え入れてくれた。
その時は私もいっぱいいっぱいで、ぎこちない笑顔を返すのが精一杯だったけど、気持ちの整理がついていないのは傑だって同じだったはず。
それでも傑は私に気まずい思いをさせないよう明るく振る舞い、普段通りに接して…
受け入れてくれた。
今思えばそれも全部傑の優しさだったんだろうな、って思う。