第14章 代償
「・・・・・。」
俺の名前をーーー?
いや、でもそれは、、、、ちがう。
ふっと湧き上がった感情を掻き消す。
そんな俺の揺れ動く感情を見透かしたように、七海の鋭い視線が刺さる。
「愛する人の死に際を見て怖くなりましたか?
けど、あなたがこうして現実から目を背けてる今も、さんは生きようと頑張ってるんじゃないんですか?
何をびびってるのかは知りませんが彼女が目を覚ました時、側に居て欲しいのは五条さんだと思いますよ。」
ーーーーこの生意気な後輩の言う通り、俺は確かにびびってる。
あのまま青白い顔で人形のようにもう目を覚まさないんじゃないかという恐怖から。
もしまた目を覚ましたとして、傑と手を取り合い微笑み合う2人の姿から。
目を背けたかったんだ。