第14章 代償
『うん・・・・ん、、?』
抹消、、、⁇
不穏な言葉にスンッと涙が引っ込んだ。
「覚えてないかい?最初に夜蛾が私達に任務の内容を伝えた時の事。
夜蛾はあえて星漿体天内理子の"護衛と抹消"という言い方をしていたんだ。」
『・・・そう、、だったっけ…?』
記憶も曖昧な上、傑の話す意味がよく分からず首を捻る。
「夜蛾は脳筋なくせによくまわりくどい言い方をするからね。
私と悟は事前に理子ちゃんが同化を拒んだ時の話しはつけてたんだ。」
『え、、ちょ、ちょっと待って、、?
それって理子ちゃんが同化を拒んだって事、、、?』
傑は小さく頷いた。
「まぁ、私がそう言うように話を持っていった、ってのが実際のところかな?
彼女、ボロボロと泣きながら本音を漏らしたよ。
もっと皆んなといたい、もっと色んな所に行ってもっと色んな物を見て、もっと、もっとってね…。」
『・・・・っ、、』
言葉を失った。
あの決意の固さの裏には、やっぱり脆さがあったんだ…
そりゃあそうだよね…当たり前だ、、
「.そんな顔、しなくて大丈夫だよ。
星漿体天内理子は抹消したが、ただの14歳の女の子、天内理子は生きてる。」
『、、、?生きてる、、、⁇』
傑は手を握っている方とは反対の手で私の頭を優しく撫でた。
「あぁ。表向きはあの男に殺された事になってる。
悟の暴走のお陰で体よくあちこち派手に倒壊、かなりの敷地が更地化したからね。
遺体が残ってなくても疑われずに済んだよ。
それに今のところ天元様も異変は見られないし容態は落ち着いてるそうだよ。」
悪戯っぽい笑みを浮かべる傑を見て、引っ込んだ筈の涙がポロポロと流れ枕を濡らしていく。
『ーーーよ、、良かった…』
「・・あぁ。これでようやく彼女も自分の人生を始められる。
まぁ雲隠れの場所として沖縄を選ぶあたり理子ちゃんらしいよ。」
『・・・・沖縄?』
「フッ、よっぽど楽しかったようだね?
今頃黒井さんと2人、向こうで伸び伸びとしてるさ。」
『黒井さんと、そっかぁ、、、』
幸せそうに笑う2人の姿が目に浮かび、心の底から安堵の声が漏れた。