第12章 小噺 七海の憂鬱
入学してまだ2日。
あのクラスメイトとこの先うまくやっていけるのか…既に不安になってきた。
そんなクラスメイトは放っておいて続きを読もうと本のページを捲っていると、
「七海っ‼︎七海〜〜‼︎」
・・・・。
眉間に皺を寄せ声の方へ目線を向けると、灰原がお前も来いとばかりに手招きをしている。
はぁ…。
渋々本を閉じ、席を立ちあがった。
挨拶したらあの人達も満足して帰るだろう…。
そう思い、眉間にシワが寄らないよう意識し、灰原の横に立った。
「・・・七海、健人です。」
軽く会釈をすると、
『けんと?えっ⁉︎ケント?やっぱハーフだよね⁇』
「・・・・。」
「さんっ!ハーフじゃなくてクォーターらしいっすよ!
俺も最初会った時聞いたんすよ!」
ーーーさん?
コイツ、すでに名前聞いたのか。
隣でニコニコと屈託のない笑顔を振り撒く灰原にジトッとした視線を送る。
「クォーター⁈なんかハーフより響きがカッコ良いね‼︎
ね?硝子?」
「ーーー誰がカッコ良いって?」
"硝子"という友人に話しかけたのであろうが、その友人はいつの間にか姿を消し、代わり後ろにいたのは…。