第12章 小噺 七海の憂鬱
「・・・・。」
自分は動物園のパンダにでもなったのだろうか。。。
教室の入り口のドアから恐らく先輩と思わしき女生徒が2人、こちらを覗いている。
唯一のクラスメイト、灰原はほんのりと頬を染めながらチラチラと入り口に視線を向けながら俺の腕を引っ張ってきた。
「七海、ねぇねぇっ!あそこにいんのって先輩だよね⁈
俺らの事見に来たのかな⁈話しかけてみる⁇」
・・・全く。
このたった1人のクラスメイトは良くも悪くも普通の男子高校生のようだ。
明るくて真っ直ぐで人懐っこいーーー
自分とはまるで正反対の人間。
短く息を吐き、手元の本を閉じる。
「やめておけよ。ここは呪術を学ぶ学校だ。
あんまり浮ついてると、、、っておい、灰原⁇」
顔を上げると、すでに灰原は尻尾を振るかのごとく入り口へとダッシュしていた。
「・・・・。」