第10章 自覚と恐怖 流血、残虐な描写あり
男が手に握っていた呪具は五条の喉を貫いていた。
目を見開く五条とニィッと口の端を持ち上げる男。
五条の口からゴポッと血が吹き出し、地面に赤い染みをつくっていく。
ーーーー嘘、、、やめて、、、
五条は自分の喉に突き刺さっている呪具に自分の手を掛けた。
ーーーーーが、反撃を与える隙もなく、
男は喉に刺さった呪具を物凄い力でそのまま下へ、五条の身体を裂くように振り下ろした。
私は震える手で印を結ぶ。
大量の血が飛び散り、男はそれでも尚手を止める事なく呪具と短刀を五条の身体、足にザクザクと幾度となく突き刺していく。
『ーーーーー赤縛ッ‼︎‼︎‼︎』
縄状に変形した血液が男を拘束した。
「・・・そっちは赤血操術ね。」
男は不敵に笑い、背後に立つ私に視線を向けた。
ドサッ
『ーーーー五条っ、、』
拘束した男の足元に力無く倒れる五条。
その周りにみるみる血溜まりが広がっていく…
『ぐっ、、、、』
怒りと憎しみで頭がおかしくなるんじゃないかと思う程、私の中で憎悪が溢れ出す。
「ククッ、お前、コイツのオンナか?」
『・・・だったら?』
「別にー?ただオンナも守れずに死ぬとか、宝の持ち腐れだなと思ってな。
んで?こっからどーする?」
手と足が拘束されてるにも関わらず、飄々と挑発的な笑みを浮かべる男に、ビキビキとこめかみに筋が立ち、目は毛細血管が切れそうな程血走る。
『・・・殺す。』
「お前にゃ無理だ。分かってんだろ?
この血液の縄も俺には無意味だ。」
そんな事は百も承知。
私じゃこの男を殺せないのは分かってる。
だから私はコイツを数分、1秒でも長くここに足止めする…!
そうすれば高専の敷地内でこれだけ五条が派手に術式を使ったのだからきっとすぐに応援が来るはず…