第10章 自覚と恐怖 流血、残虐な描写あり
ドドドドドッッ
ドゴォッッ
五条の術式で男が弾かれ吹き飛んだ。
凄まじい衝撃音と共に、周りの柵と建物が破壊し辺りに砂埃が舞う。
「⁉︎」
ーーー嘘っ‼︎いない⁉︎
確実に弾いたのに男の姿はそこには無かった。
・・・・この胸騒ぎは何なの…?
相手は呪力も無い、厄介な術式を使うわけでも無い。
五条が優位に立ってる筈なのに、何故か嫌な汗が止まらない。
おかしい。。
五条の術式を分かってて無策で戦いを挑むだろうか…?
私は必死で思考回路をフルで回転させていると、
「、もう少し離れてろ…」
五条の周りの空気がビリビリと張り詰めたものに変わった。
『う、うん…』
私が感じてる位だから五条本人だってこの違和感には気付いてるはず。
私が後ろに飛び退き数メートル離れたのを確認すると、五条は術式の出力を最大に上げ周りの遮蔽物を全て破壊し始めた。
凄っ、、、何て力、、、‼︎
改めて規格外の強さを誇る五条に目を見張った。
爆音と爆風で離れた場所にいても立ってられない程の衝撃が走り、あっという間に五条の周りの建物、遮蔽物は全て無くなり、更地になった。
・・・なるほど。
これで奇襲はかけれないし、身を隠せる場所も無くなった‼︎
けど、男の姿はどこにも見当たらない。
その時、
『ッ⁈五条っ‼︎アレッ‼︎』
「ーーーー蠅頭⁉︎」
無数の蠅頭がこちらに向かって飛んできているのが見えた。
ブブブブブブブブ
羽音をさせ、あっと言う間に五条の周りを取り囲んだ。
『五条っーーー‼︎』
あれじゃせっかく更地にしても死角だらけじゃない‼︎
そうなると蠅頭の羽音と死角に紛れてあの男は奇襲をかけてくるっ‼︎
そう思った瞬間、私は地面を蹴った。