第10章 自覚と恐怖 流血、残虐な描写あり
「星漿体かいねぇな。」
男は周りを見渡し大して焦った様子もなく呟いた。
「天内の懸賞金はもう取り下げられたぞ、マヌケ。」
「俺が取り下げたんだよ、ヤセ我慢。
お前みたいに隙がない奴には緩急つけて偽のゴールをいくつか作ってやるんだ。」
ーーーえ…⁈
ちょっと待って…?
今、"ゴールを作ってやる"って言った⁇
じゃあ沖縄で感じた違和感は全部この男が仕組んだものだったって事…?
うまく事が運び過ぎてるとは思ってたけど、全て手の上で転がされていた…?
男は薄ら笑いを浮かべ、チラッと私に視線を向けた。
「周りの術師が1人も死ななかったのはクソだったが、懸賞金の時間制限がなければお前は最後まで術式解かなかったと思うぜ?」
「ーーーあっそ。」
ズズズズズズズ
五条は"引き寄せる力"無下限呪術「蒼」を放つが、男は目で追えない程の速さで既に別の建物の屋根の上へと移動していた。
ーーーー速いっ‼︎‼︎
それでいてあの人、呪力が全くない…
呪力も気配も、まるで感じない。
、、、これじゃあいくら五条でも動きが読めないんじゃ…
『五条…‼︎」
無力な自分が歯痒くて、ぎゅっと拳を握る。
男はまた身体に巻きついている呪霊の口から別の呪具を取り出すと、
あり得ない動きとスピードで五条へと向かっていく。