第9章 星漿体②
『五条!どういう状況⁇』
全速力で校舎の屋根の上を駆け抜ける。
「呪詛師襲来だ。このまま高専に戻る。」
『っ、、、分かった。』
学校の敷地から出てしばらく走ると五条の携帯が鳴った。
はぁ、はぁ、、、
肩で息をする私とは正反対に、五条は涼しい顔をして携帯を耳に当てた。
「ーー天内の首に3000万の懸賞金?」
相手は傑だろう。
物騒な話の内容に、私と理子ちゃんは顔を見合わせた。
その時、
ズズズズ
『ーーーー⁈式神っ⁇』
同じ背格好をした紙袋のような物を被った男が4人現れた。
「、天内を見てろ。」
五条が通話を切り、指示を出す。
私は頷き、理子ちゃんを背に隠し呪詛師を見据える。
ズズズズ
「また増えた!5人じゃ‼︎」
恐らく分身の術式、相手は全部で5体になった。
するとそのうちの2体が同時に五条に襲いかかるが、一瞬にして潰れた。
五条の術式を知らない男は何が起きたのか理解出来ずに、次々とボコボコにされていく。
ーーーそして残るは本体のみ。
相変わらず余裕の表情の五条は、術式反転でキメる。
と思いきや、結局失敗に終わりただのパンチで本体をノックアウトさせた。
「何か出来そうと思ったんだけどなー。」と首を傾ける五条を置いて私は理子ちゃんと先を急ごうとした時。
ヴーーヴーー
理子ちゃんの携帯が音を立てた。
「黒井からじゃ。」
携帯の画面を開いた理子ちゃんの顔色が一気に変わり、みるみる青褪めていく。
『・・理子ちゃん、どうかした?』
「どっ、、どうしようっ黒井が…‼︎
黒井が、、、‼︎」