第9章 星漿体②
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「すまない、私のミスだ。
敵側にとっての黒井さんの価値を見誤っていた。」
黒井さんは傑を先に高専に向かわせ、後から自分も追いつくつもりだったようだが、どうやらその途中で攫われたらしい。
『傑は悪くないよ。
それに相手の狙いは理子ちゃんだし、黒井さんには手は出さないでしょ?』
「そーだな。交渉の主導権は天内のいるコッチ、取引の場さえ設けられれば後は俺達でどうにでもなる。」
『じゃあ理子ちゃんは…』
「天内はこのまま高専に連れて行く。
その後はが影武者になって動けばいいだろ。」
「まっ、待てっ‼︎」
淡々と話を進める五条の言葉を理子ちゃんが遮った。
「取引には妾も行くぞ‼︎」
「あぁ?」
五条があからさまに嫌な顔を向ける。
「助けられたとしても‼︎
同化までに黒井が帰って来なかったら⁈
まだお別れも言ってないのに、、、⁉︎」
『ーーーー理子ちゃん…』
目に涙を溜め必死に訴える姿に、さすがの五条も考える素振りを見せた。
「・・・その内拉致犯から連絡がくる。
もしアッチの頭が予想より上回って天内を連れて行く事で黒井さんの生存率が下がるようなら、やっぱオマエは置いていく。」
理子ちゃんの瞳に決意が灯る。
「分かった。それでいい。」
「逆に言えば途中でビビって帰りたくなってもシカトするからな。
覚悟しとけ。」
ーーー相手がどんな交渉をしてきて、一体どんな手段を使ってくるのか分からない。
けど幼い頃、両親を無くした理子ちゃんにとって黒井さんは最早家族のような存在だ。
何としてでも同化までに救出しないと…‼︎